投資銀行出身者のための転職ガイド：ベンチャーCFOやファンドなど多彩なキャリアパスを解説

投資銀行に勤務されている方の場合、働きながら常に次の転職先を模索する傾向がよく見られます。

近年、ベンチャー企業のCFO（最高財務責任者）や事業会社の経営側ポジションへ興味を持つ方が増えている印象ですが、投資銀行で培った経験・スキルはさまざまな領域で評価され、多岐にわたる選択肢があることから迷ってしまう方も多くなっています。

そこで、このページでは投資銀行からの転職先を検討する際に役立つ情報を提供しています。具体的には、どういった転職先があるのか、メリット・デメリットなどを紹介しています。

なお、投資銀行と一口に言っても外資系か日系なのかといったことや所属部門、ポジションなどによって変わってくる部分があり、一概には当てはまらない場合もあるかもしれません。

個々人の各キャリアに合わせたアドバイスや詳細な情報の提供を希望される方は、「Bridge Agent」にご相談いただければと思います。

投資銀行からの主な転職先

投資銀行の次の転職先としてよくある例としては、スタートアップベンチャーのCFOや上場企業の経営企画・財務戦略部などの事業会社、アセットマネジメントやPE（プライベート・エクイティ）ファンドなどのバイサイド、総合商社、コンサルティングファームなどが考えられます。

従来は、主にバイサイドへ転職するケースが多かったように思いますが、近年では金融を離れて事業会社に転職される方も増えている印象があります。

それぞれの転職先にはメリット・デメリットが存在しますので、各フィールドの特徴を簡単に見ていきましょう。

事業会社への転職

CxOなどの経営幹部としての採用や経営企画、財務企画においてM＆Aを含むファイナンス戦略を専門に担当するポジションでの採用があります。

財務や経営企画でM＆Aに関わる責任者として転職

財務戦略部や経営企画へ転職するケースが多く見られます。

たとえば、近年ではM＆Aを通じた成長戦略を描く企業が増加したことから、上場企業を中心に企業内部にM＆A専門部隊を設置し、投資銀行出身者を責任者として採用するケースが増えました。

投資する立場として、投資銀行やFASを活用し、成果をあげていくポジションです。

事業会社への転職メリットとしては、ワークライフバランスが実現しやすく、中長期的なキャリアパスが描きやすい傾向にあることがあげられます。

求人選びを間違えなければ、肉体的にも精神的にも投資銀行よりも安定して働くことができ、中長期的なキャリアが見据えやすいことは事業会社へ転職するメリットであると考えます。

難点としては、転職時点では年収が下がってしまうケースが多いため、年収にこだわる場合は慎重な求人選び必要です。

ベンチャー企業のCFOなど経営陣への転職

ベンチャー企業のCFOなど、経営に関わるポジションへの転職を決断される方も多くいらっしゃいます。金融の世界から企業を見ていく中で、経営に興味を抱く方は多い印象です。

事業会社内部で経営に参画することで、自らが「どれだけのバリューが出せるのか？」と、実際に事業サイドで挑戦したいという方が一定数いらっしゃいます。

また、仕事を通じて企業の経営陣と関りを持つ機会も多いことから、事業会社内部から経営に携わりたいと考えるに至るきっかけというのは必然的に多くなります。

ベンチャー企業へ転職するメリットとしては、CFOなどの事業会社内の役員・経営陣として働いたキャリアが手に入りやすいということ、会社が成長した際のリターンが大きいことがあげられます。

経営側のポジションの募集というのは通常そうあるものではないのですが、近年はIPO市場も比較的順調なことからもわかるとおり、勢いのある面白いベンチャー企業がCxOなどの経営に近いポジションを募集するケースが増えています。

特に事業成長を加速させていくにあたって、ファイナンスに強い人材を幹部として迎える動きが増えており、CFOなどのベンチャー企業の経営ポジションに興味のある方にとっては好機と言えるでしょう。

また、IPOを達成することも含めて、会社が成長していくことで将来的な大きなリターンが期待できる点も、魅力の一つです。

金融・財務の能力だけが求められるわけではない

ポジションや企業の状況にもよりますが、ベンチャー企業のCFOなどの経営側ポジションとして転職する場合は、資金調達やM＆Aなどの金融・ファイナンス周りの業務だけが求められているわけではありません。組織構築など会社運営に必要な業務全般に関与し、あらゆる管理業務を担う覚悟も必要です。

ファイナンスに強い人材を求めている一方で、幅広く経営管理を含めたバックオフィス運営に関わる業務の担当も必要ですので、場合によってはご自身の志向と企業の要求が一致しない場合も考えられます。

転職時には、現行経営陣とのコミュニケーションを重視し、「自分に何が求められているのか」を細かく確認しておく必要があります。金融・財務・投資に関わる業務だけに関わりたいなど、特定の領域のみに絞りたいという場合はベンチャー企業のCFOなどのポジションにマッチしないこともありますので、注意が必要です。

また、転職先企業の状況によってはお持ちのスキルが十分に発揮できない可能性もあるため、求人選びはしっかりと行いましょう。

ベンチャー企業の場合、投資銀行で働く大変さとはまた違ったリスクが存在します。事業が頓挫してしまうなど、ある程度のリスクも伴いますので情報収集が大切です。

「Bridge Agent」ではベンチャー企業のCFOを始めとして、投資銀行出身者を求めるハイクラス求人が多数ございます。投資銀行から事業会社への転職に関心がある方は、お気軽にご相談いただければと思います。

バイサイドへの転職

一般的に、投資銀行の次の転職先として選ぶ領域はバイサイドが多い傾向にあると言われています。

バイサイドとは主にPEファンドやアセットマネジメントなどの資産運用系の会社への転職を指し、投資銀行での業務や専門性から派生するスキルが、さまざまな部門やチームに通用する傾向にあります。

そのため、どの部門に所属していたとしても、バイサイド転職においてマッチする専門性を備えている場合が多く、転職の機会は多いと言えるでしょう。

投資銀行からバイサイドへの転職の魅力は、ワークライフバランスの取りやすさがあげられます。長期にわたりハードな働き方が求められる投資銀行と比較して、バイサイドでは働きやすい傾向があります。

PEファンド

大まかな説明となりますが、PEファンドは、未上場企業の株式を取得してハンズオンによる経営支援などを行い、価値向上後第三者に転売して利益を得る投資会社です。

バイサイドであるPEファンドは投資銀行と比べるとクライアントの都合に左右されにくく、時間的な融通が利きやすいことから、先程記載したようにワークライフバランスは投資銀行よりも実現しやすい傾向にあります。投資フェーズによって忙しさは変わってきますが、投資銀行の時に比べると労働時間・忙しさの点では楽になったという方は多いかと思います。

転職にあたって投資銀行出身者の方が期待されるものとしては、財務モデル作成があげられます。

また、ファイナンス以外の面でもM＆A時のストラクチャーの検討や資料作成（ドキュメンテーションスキル）など、PEファンドで働く上ですぐに生かせるスキルは多くあり、基本的に即戦力です。

なお、PEファンドはレバレッジドバイアウト（LBO）による買収の検討を行うため、LBOモデルの作成を行います。選考でもLBOモデルの作成テストがあると考えられるため、投資銀行での経験が少ない場合は基礎知識の確認などをしておくと安心です。

アセットマネジメント

銀行や年金基金、保険会社などの機関投資家から預かった資金を株式や債券などの流動性の高い資産で運用し、手数料を得るストック型のビジネスです。定期的にフィーが発生することから安定している点で投資銀行とは異なります。

投資銀行と比較すると年収は下がる傾向にありますが、投資銀行のビジネスモデルと比較すると安定しており、日々の動きに右往左往することもそれほど多くはないため、労働時間や業務量が少なくなるのはメリットです。

カルチャーフィットが重要なケースも多い

PEファンドでは少数での運営となるところも多いため、カルチャーフィットするかどうかを見られる傾向にあります。

選考では会食が設定され、話をする機会が設けられることが多いのですが、こうした場での態度や振る舞いが評価されます。また、実際に入社した際には投資先も含めた取引先と食事をする機会も多くあり、こういった場で適切にコミュニケーションを取れるかなども注視されています。

普通に会話をしているように感じられるかもしれませんが、人間性や人柄は非常に重視されると考えられます。

スキルセットも重要ですが、こうしたカルチャーフィットするかどうかも含めた面が見られるケースはあるため、選考を受ける際はこれらに注意を払いながら対策を行う必要があります。

ファンドへの転職に興味がある場合は一度、「Bridge Agent」にご相談いただければと思います。

総合商社への転職

総合商社へ転職される方も多くいらっしゃいます。

事業会社でも金融機関でもなく、商社の事業投資に転職されるケースは比較的頻繁に見られます。内部で行う実務はPEファンドで行う業務と近いものがあるようです。

基本的には投資案件を検討するチームで働くことが想定されますが、バックボーンによって業務内容は異なります。総合商社に強いエージェントなどに相談して十分な情報収集をしておくべきでしょう。

コンサルティングファームへの転職

財務系のコンサルティングファームや戦略コンサルティングファームへ転職も増加しています。

Big4系や大手独立系FASなど、M＆A関連のファームにおいては投資銀行での経験を有する方は基本的に即戦力として受け入れられることが一般的です。そのため、転職自体は問題ないと見られます。

戦略コンサルティングファームに転職される方もいらっしゃいますが、投資銀行ではファイナンスのみならず企業価値向上を視野に入れたM＆Aのディールを進めることから、ファイナンスに加えて企業分析スキルなども重宝されると考えられます。

留意すべき点として、コンサルティングファームへの転職は基本的に高年収が期待できますが、投資銀行からの転職の場合は年収が下がるケースが一般的です。

その他

このページで記載した以外にも細かく見ていけば他にもさまざまな領域で活躍することが可能です。

たとえば近年はサステナビリティ領域でのポジションが増加していますが、サステナビリティ領域でファイナンスが果たす役割は大きいため、金融業界はもちろんですが、事業会社の事業開発やコンサルティングファームなどで関連する新たなポジションが生まれてきています。

今後も活躍の場は増加していくと考えられます。

事業会社への転職は年収が下がるが、ベンチャー企業CFOなどで好待遇の求人も一部ある

事業会社への転職は年収が下がる傾向にありますが、ご経験によっては一部の事業会社では高い年収が得られることもあります。

M＆Aを通じた投資による成長拡大を狙う大手事業会社もいくつかありますが、そういった企業では財務戦略投資チームを社内に抱えており、多数の投資案件の処理にあたって金融出身者を高い報酬で招く企業もあります。

また、近年は勢いのあるベンチャー企業も増えており、CFOなどの経営幹部として高い報酬を提示し、金融出身者を招聘するケースもあります。特に、将来的にIPOを目指すベンチャー企業では年収という軸とIPO達成した場合のストックオプションを含めた対価という軸で高い報酬を得ることが可能な場合があります。

ご経験によるところもありますが、近年は事業会社だからといって必ずしも年収が下がるということも一概に言い切れないため、事業会社側へ興味はあるが年収がネックであまり検討していなかったというケースではマッチする案件があるか探ってみるのも悪くないでしょう。

こうした求人との出会いはタイミングもありますが、中長期的に転職先を探しておられる方も多いかと思いますので、将来的に転職を考えている場合はベンチャー企業を含めた事業会社への転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

数年、数十年先を見据えたキャリアを考える

投資銀行出身者というバックボーンは転職市場ではかなり強いため、選択肢はかなり豊富です。

そういった状況の中で転職先を選んでいく際に、目先のことだけにとらわれるのではなく、人生設計も含めた長期的なビジョンでキャリアを考えてみることも重要です。

ご結婚により子供が産まれるなど、ライフイベントや私生活での変化によりキャリアに対する考え方、価値観が大きく変わる方もたくさんいらっしゃいます。

先も見据えてどういった領域でキャリア形成をしていくのが良さそうか、一度考えてみるのも悪くないかと思います。

投資銀行からの転職をお考えならBridge Agentにご相談ください

当社では上場企業やベンチャー企業向けに経営管理に関するコンサルティングサービスの提供を行っている他、IPO支援サービスも提供しており、こうしたつながりから経営課題の解決に直結するハイクラス人材の採用の相談を受けることが多くあり、独自の求人を多数保有しています。

また、事業会社のみならずPEファンドなどの投資会社やコンサルティングファームの案件も多数ございます。

投資銀行から転職できる先はかなり広いため、特定の転職エージェントやヘッドハンターが全ての領域をカバーすることは難しいことから、情報収集にあたっては当社のサービスもぜひ活用いただければと思います。

「Bridge Agent」では中長期的なキャリアサポートも可能ですので、いますぐの転職を考えているという方だけでなく、まずは情報収集だけしたいという方も気軽にご相談ください。