監査法人で働いているうちに、「ついていけない」と感じるようになる人もいるかもしれません。人間関係や長時間労働、仕事のやりがいなど、監査法人での仕事に限界を感じる理由はさまざまです。
本記事では、監査法人に勤めている公認会計士の方に向けて、仕事に「ついていけない」と感じるパターンや対処法を解説します。監査法人からの転職先や、転職時のポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「本記事の内容には当てはまらないが、転職に関する悩みを相談したい」とお考えの方は、「Bridge Agent」までお気軽にご相談ください。
目次
監査法人の仕事に「ついていけない」と感じる4つのパターン
監査法人の仕事に「ついていけない」と感じるケースとしては、主に以下の4つのパターンに分類されます。
- イメージとのギャップでモチベーションが保てない
- 人間関係に苦しむ
- ワークライフバランスが確保できない
- 同僚やクライアントの経理担当者とつい比べてしまう
それぞれのパターンについて解説します。
イメージとのギャップでモチベーションが保てない
まずは、試験勉強時代などに想像していた業務イメージと、実際に業務に携わってからギャップを感じてしまうパターンです。監査法人での仕事はやりがいがありながらも「単調な業務が続いて飽きてきた」と考える人もいます。
営業職であれば、自分の成果が常に可視化されており、それに向き合う楽しさがあります。一方、監査法人の場合は、基本的にクライアントワークで自分の成果が見えにくい一面もあり、「ついていけない」と感じることもあるかもしれません。
人間関係に苦しむ
監査法人に限った話ではありませんが、人間関係に苦しむのもよく見られるパターンです。
監査法人にはチームでの人間関係と、クライアントとの人間関係があります。
チームでの人間関係は他の職場と同じで、上司部下の関係や同僚との関係を指します。監査法人の場合は、プロジェクトごとにチームが組まれることが多く、新しいメンバーとの関係性を築く必要があります。この過程で、コミュニケーションや協力がうまくいかない場合、ストレスや不満が生じることがあります。
クライアントとの関係はよりシビアで、常に気を張っていなければなりません。監査業務では、クライアントの信頼を得ることが重要ですが、時にはクライアントとの間で意見の相違や対立が生じることもあります。滞りなく業務を進めるのが当然であり、直接感謝される機会も少ないため、ちょっとした不満が積み重なり、「ついていけない」と感じる人もいるようです。
このような場合には、適切なコミュニケーションやストレス解消の方法を見つけることが重要です。また、メンターからの助言やサポートを受けることも、人間関係の改善に役立つことがあります。
ワークライフバランスが確保できない
ワークライフバランスが確保できないのも、「ついていけない」と感じる原因です。監査法人に限らず、企業や事務所によって労働時間や待遇は大きく異なります。
監査法人は一般的に多忙で残業時間が長いと言われており、繁忙期になるとワークライフバランスを充実させるのはほぼ不可能です。
「プライベートを削ってでも働いていくことについていけない」「子どもが生まれたので家族との時間を大切にしたい」と感じ、ワークライフバランスを求めて事業会社などへの転職を検討する方もいます。
ワークライフバランスを改善したいとお考えの公認会計士の方は、以下記事も参考にご覧ください。
同僚やクライアントの経理担当者とつい比べてしまう
チーム内の極めて優秀な同僚と自分を比べて、「このままでは出世の競争に勝てない」と感じてしまうこともあります。監査法人でのキャリアは「パートナー」がゴールになりますが、出世競争に敗れて転職を考える方も少なくありません。
また、クライアントの経理担当者に優秀な方がおり、自分の力だけでは対応が難しく、上司に窓口を任せてしまうような場面もあります。何もできない自分に無力感を覚え、「ついていけない」と感じるケースは、特に仕事に慣れていない新人の方に多いようです。
監査法人の仕事に「ついていけない」と感じた場合の対処法
監査法人の仕事に「ついていけない」と感じた場合は、以下の対処法を考えましょう。
- まずは仕事・職場への適応を目指す
- 他の監査法人への転職を考える
- 監査法人以外の場所への転職を考える
それぞれの対処法を解説します。
まずは仕事・職場への適応を目指す
監査法人に関わらず、新人は自分の能力が足りていないのが原因で「ついていけない」と感じている可能性があります。まずは、自分の努力でどうにかなる部分はないかどうかを考えて対処しましょう。
モチベーション不足であれば、「将来のキャリアアップのための経験を積んでいる」と認識を改め、意味のある働き方ができるようにします。公認会計士の場合、監査法人からの転職先にはさまざまな選択肢があるため、転職を前提として働くといくらか気が楽になるかもしれません。
他の監査法人への転職を考える
「監査法人の業務は続けたいが、どうも現在の職場の環境が自分に合っていない」と感じる場合は、他の監査法人への転職を考えるのがおすすめです。
たとえば大手監査法人と中小監査法人は、法人規模はもちろん、クライアント規模や海外展開、残業時間などさまざまな面で違いがあります。
企業の口コミがみられるサイトなどを確認し、働いている方の「生」の声を収集しつつ、公式Webサイトなどを確認して自分に合うかどうかをチェックしましょう。
ご自身にあった転職先をより効率的に探したいとお考えの方は、一度Bridge Agentにご相談いただければと思います。
監査法人以外の場所への転職を考える
監査法人の業務自体に不満を抱えている場合は、監査法人以外の場所への転職がおすすめです。たとえば「監査の業務が単調でやりがいを感じられない」と感じる場合、別の監査法人に転職しても同じような業務内容だと問題は解決しない可能性が高いです。
公認会計士は、転職市場で高い価値を持っています。事業会社や税理士事務所・会計事務所、コンサルティングファームなど、選択肢はたくさんあります。「年収」「ワークライフバランス」「業務内容」など、転職の軸を明確にしつつ、自分に合った職場を見つけることが大切です。
監査法人の仕事に「ついていけない」と感じた際に検討したい転職先
監査法人の業務自体に不満を抱え、「ついていけない」と感じた場合は、前述のように監査法人以外の場所への転職を検討しましょう。
主な候補としては、以下の5つがあります。
- 事業会社(大手上場企業等)
- 事業会社(IPO準備企業・スタートアップベンチャー)
- 税理士法人・会計事務所
- コンサルティングファーム
- VC・PEファンド
それぞれの転職先を詳しく解説します。
事業会社(大手上場企業等)
ワークライフバランスの面で「ついていけない」と感じた場合は、大手上場企業の経理部門がおすすめです。公認会計士の転職先としても人気があり、残業時間や福利厚生など、待遇面で恵まれている傾向にあります。
特に、「業務をするためのシステムが整備されており、業務遂行に集中したい」という方にぴったりです。
事業会社(IPO準備企業・スタートアップベンチャー)
監査法人の業務が単調で「ついていけない」と感じる場合は、IPO準備企業やスタートアップベンチャーなど、経営に近い部分での活躍を目指すのがおすすめです。
大手企業に比べて幅広い裁量が認められており、将来的にCFO(最高財務責任者)などのポジションを目指すことも可能です。「業務遂行のルールが整っていない中で、自分の裁量で組織を作り上げていきたい」という思考の方におすすめです。
弊社では、IPO準備企業・スタートアップベンチャー関連の独自求人を多く保有しています。転職活動中の方はもちろん、「まずは情報が欲しい」という方でも、お気軽にBridge Agentまでご相談ください。
税理士法人・会計事務所
「規模の大きいクライアントを相手にするのに疲れた」「小規模のクライアントや個人を相手にしたい」「将来は独立したい」などの考えがあれば、税理士法人や会計事務所も候補に入ってくるでしょう。
税理士法人や会計事務所では、中小企業や個人など比較的規模が小さいクライアントとやりとりをします。M&A関連の業務を扱っているところであれば、公認会計士としてのノウハウも生かしやすいでしょう。将来的に事務所経営を独立して行いたいと考えている場合にも、おすすめの選択肢です。
コンサルティングファーム
監査法人での業務にやりがいを感じず、クライアントの経営課題を直接解決するような仕事がしたい場合は、コンサルティングファームへの転職がおすすめです。例えば、KPMG FASやEYストラテジー・アンド・コンサルティングなどのFAS系は、監査法人での経験を生かせる部分も多いでしょう。
ただし、コンサルティングファームは基本的にクライアントの都合に合わせて動く必要があります。そのため、一般的には忙しい環境にあります。ワークライフバランスを確保するのが難しい可能性がある点には注意しましょう。
VC・PEファンド
監査法人での業務に魅力を感じない、ついていけないと感じる場合は、VC・PEファンドもおすすめです。FASと異なるのは、第三者としてクライアントと関わるのではなく、投資する側として業務に携わる点です。
VCもPEファンドも、未上場企業の株式への投資をするという点では同じですが、以下のような違いがあります。
- VC:成長中のベンチャー企業に対して投資をする
- PEファンド:安定期以降に入った企業や事業の一部を買収し、バリューアップを目指す
いずれも転職難易度が高く、ファンドによってカルチャーが異なるため、個別での念入りな対策が必要です。
監査法人から転職する場合の注意点・ポイント
監査法人から転職する場合の注意点・ポイントは、以下の3点です。
- 転職する目的を明確にする
- 転職事例を確認する
- 転職エージェントを活用する
それぞれ解説していきます。
転職する目的を明確にする
監査法人から転職する際には、まず転職の目的を明確にしましょう。「ついていけない」というだけの理由で転職すると、転職先でも同じように苦労する可能性があります。
転職のきっかけがネガティブなものだったとしても、「結婚・出産を機に、家族と過ごせる時間を増やしたいと感じるようになり、ワークライフバランスのとれる職場に転職したい」など、なるべくポジティブな目的を考えましょう。
転職事例を確認しておく
転職事例を確認しておくのも、監査法人から転職する場合の重要なポイントです。監査法人から監査法人以外の場所へ転職する事例は多くあるため、自分と同じようなケースがないかどうかを見てみましょう。
具体的には、なぜ転職を希望したのか、どのような職場に転職したのか、そして転職後の適応状況や満足度などを確認します。これによって、自分の現状や転職活動が正しい方に向かっているかどうかを判断することができます。
また、他の転職者の経験から得られる知識やヒントは、自分の転職活動に役立つことがあります。同じような状況や悩みを抱えている人がどのように対処し、成功を収めたのかを知ることで、自分の戦略やアプローチを見直すことができます。
転職エージェントを活用する
監査法人からの転職を考える際には、転職エージェントを活用するのがおすすめです。転職エージェントは、転職を考えている方と、人材を探している企業の仲介役になります。非公開求人の紹介やキャリア相談など、メリットもさまざまです。
Bridge Agentは、士業・管理部門のハイクラス転職に特化しており、監査法人出身者の転職サポートに数多くしています。求人の案内やキャリアの相談だけでなく、ミスマッチを防ぐための情報提供も行っています。
近年人気のあるIPO準備企業などの非公開求人も多く取り扱っていますので、キャリアにお悩みの方はお気軽にご相談ください。
公認会計士の転職先や成功の秘訣について具体的に知りたいという方は、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
監査法人からの転職はBridge Agentにご相談ください
監査法人での仕事は、ルーティンワークも多く、激務になりやすい一面もあります。さまざまな理由で「ついていけない」と感じた場合は、転職を検討しましょう。
公認会計士は転職市場で価値が高く、転職先は事業会社やコンサルティングファームなど、さまざまな選択肢があります。まずは自身のキャリアの方向性、転職理由を明確にして、それに合った転職先を探しましょう。監査法人からのキャリアパスについて悩み事がございましたら、Bridge Agentまでお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
ブリッジコンサルティンググループ株式会社
執行役員/ヒューマンリソースマネジメント事業部 事業部長 仁木 正太
新卒から15年間、九州屈指の地方銀行で法人向けに、融資新規開拓から深耕営業を中心に従事。その後、急成長ベンチャーにて大手、上場企業の事業部長、役員経験者を対象とした“エグゼクティブ人材”と企業オーナーとのマッチング支援サービスに従事し、海外現地法人社長、子会社社長、ベンチャー企業の取締役CxOなどへの移籍を約50名手掛ける。2020年、ブリッジコンサルティンググループで人材紹介サービス「Bridge Agent」を立ち上げる。パーソルキャリア運営ハイクラス転職サービス『iX転職』にて、2021年に最も活躍したヘッドハンターを表彰する『iX HEADHUNTER AWARD 2021』ハイクラス転職人数部門1位(2,500名中)を受賞。