公認会計士の資格を持つ方々が仕事においてキャリアアップを図り、転職を検討する機会があるかと思います。しかし、「初めて転職を考える際、どこから手をつければ良いか迷う」「今後のキャリアプランに悩んでいる」「転職で失敗したくないが、どんな転職先があるか分からない」という方もいるのではないでしょうか?
そこで、この記事では、10年間で公認会計士の方を含む約300名の転職支援をサポートしてきたBridge Agentのシニアコンサルタント・大崎雄太氏に、公認会計士の転職先や成功の秘訣について取材しました。
転職やキャリアプランに悩んでいる公認会計士の方は、最後までこの記事を読んでいただくと、具体的な進め方がわかるかもしれません。参考にしていただければ幸いです。
Bridge Agent シニアコンサルタント
大﨑 雄太
「士業」「管理部門職種」に特化した人材紹介会社で監査法人・税理士法人・コンサルティングファーム・ファンドなどのプロフェッショナルファームや事業会社のCFOやIPO準備責任者クラスや経理財務・内部監査職種への転職支援を行って参りました。
上記ファームや職種に10年間で約300名の支援実績がございます。現職では、IPO準備や決算開示・M&A関連でコンサルティング支援をしている企業様をメインとした人材紹介を行っております。
まずは相談をしてみたいという方は、Bridge Agentまでお気軽にご連絡ください。
目次
公認会計士の主な転職先は事業会社とコンサルティング会社
公認会計士の転職先として一般的にはどのような転職先がある?
公認会計士の転職先として、一般的には主に2つの選択肢があります。それは、事業会社とコンサルティングファームです。どちらのケースにも適さない方には、Bridge Agentが保有する非公開案件ご紹介することもあります。
コンサルティングファームに関しては、監査法人も含めた会計系のコンサルティングファームや、人によっては税理士法人も含まれます。
会計業務がメインでない、戦略系や業務系コンサルティングファームも転職先の候補になるため、最終的にはいくつかのパターンを総合的に検討し、転職をお考えの方にアドバイスすることもあります。
公認会計士の転職で最も多い理由は監査からの卒業
公認会計士の転職理由としてよく挙げられるのは、「監査の業務が忙しい」「インチャージを経験したので次のステップに進みたい」「監査の仕事に飽きてしまった」といった理由です。
また、中でもよく聞くのは、監査法人内で残業規制や働き方改革が実行された結果、スタッフやシニアスタッフの働き方が改善された反面、マネジャー以上に仕事の負担が増え、業務に追われているという状況に危機を感じているという話です。
マネジャー以上の働き方を見た方が「マネジャーになりたくない」と考えるケースや、「パートナーになったとしても重責になる」と感じ、転職を考えるケースもあります。
現職監査法人以外に勤める公認会計士の転職理由
上述のコンサルティングファームに在籍の方々は、クライアントワークを通じさまざまな企業をみてきたため、自らがインハウスで活躍する場を見つけたいと考える方が多い印象を受けます。
事業会社の方については、例えばIPO達成し、ロックアップ期間終了後に次のステップに進むケースもあります。一方でIPO未達成や、延期になってしまった場合も、再びIPO準備企業で挑戦するために他社を探すこともあります。
事業会社やコンサルティングファームでの経験を通じて、「やはり自分には監査の業務が向いている」と監査法人に戻る方もいらっしゃいます。
公認会計士の転職先で増加傾向の求人
上場企業に関しては決算開示ができる方や、経営企画でM&Aに携わることのできるに対する求人が増えています。
弊社では、上場企業に対して「決算開示支援」「M&A時のデューデリジェンス・バリュエーション・PPA(Purchase Price Allocation)評価」なども実施している兼ね合いで、上記ポジションのお引き合わせを複数いただくことが多いです。
IPO準備企業に関しては、「管理本部長」や「CFO」「CAO(Chief Accounting Officer)」「経理マネジャー候補」の案件が圧倒的に増加しています。
Bridge Agentを有するブリッジコンサルティンググループでは、上場準備支援サービスをメインで行っているため、IPOに興味を持つ企業との接点が多くあります。
また宣伝になってしまいますが、Bridge Agentなら転職未経験の公認会計士の方、上場企業への転職を希望する方、IPO準備企業への転職を望む方に、十分なサポートを提供することが可能です。
転職未経験の公認会計士が活躍できる転職先は?
転職未経験であっても公認会計士として監査経験があれば、IPO準備企業における監査法人対応やJ-SOX構築支援、上場時の決算開示の体制構築などで、これまでのご経験が生かせます。
上場企業の経理のポジションでも、連結決算や開示関連の部門で、監査をする側から企業活動に用いるお金の計算や管理をする側に立って活躍できると考えています。
また、転職先としてコンサルティングファームを選んだ場合、M&Aのデューデリジェンスやバリュエーションなど監査に近い仕事であれば経験を生かせますし、ターンアラウンド(事業再生)案件でも監査経験を生かすことができると思います。
転職先として人気なのは上場企業の経理部門
あくまでも弊社での事例ではございますが、上場企業の経理部門に人気があります。監査を担当していた公認会計士の方であれば企業の内部を理解しているため、働くイメージがしやすい様子です。
特に弊社では、今まで培った経験を生かして、経営のボードメンバーとして働きたい・ストックオプションで高い報酬を得たいと考えている方から、IPO準備企業に転職したいという方が多い傾向です。
また、独立を視野に入れている場合、「士業としての専門性を高めたい」と考える方が多く、税理士法人を含むコンサルティングファームを選ばれる傾向にあります。
独立志向がある公認会計士のオススメの転職先
例えば、単価が高い案件ならM&A系のコンサルティングファーム。顧問料を一時的に得たい場合は税務関連でしょうか。
経営者とひざを突き合わせて泥臭くやりたい方は、常駐支援を売りにしている会計系のコンサルティングファームやターンアラウンドをメインにする企業が良いと考えています。
公認会計士の転職先の選び方
本音ベースで言うと、転職先の選び方に迷走されている方が多い印象を受けます。
「何を軸にして選んだらいいか」「自分にはどういう可能性があるのか」と悩んだら、まずは「転職によって何をかなえたいか」を明確にすることが大切です。
例えば、「転職によってワークライフバランスをどう変えたいか」ということなのか、キャリアとして「IPOを達成させたい」なのか、「今より年収をアップさせたい」など、いろいろあると思います。かなえたいことを基準に転職先を選ぶと良いと考えます。
ワークライフバランス重視で転職先を選ぶ場合
フルフレックスやリモートワークが可能など、働き方が柔軟な事業会社やコンサルティングファームです。
また、必ずしもではありませんが、社内の仕組化が整っている大手企業の場合、体調不良などで休んだ場合でも、業務を代わりに引き受けてくださる方がいるのでワークライフバランスが良いと言えそうです。
コンサルティングファームでも自分の裁量でいろいろ決めることができ、クライアントから許可を得れば仕事時間も柔軟に決めることが可能なケースもあります。
仕事をうまくハンドリングできる方なら十分なワークライフバランスがとれます。
転職を希望する企業の福利厚生からそういった働き方が可能なのか、担当コンサルタントにしっかりと確認をしてもらえば良いと思います。
スキル面や専門性によって選べる転職先は変わる?
役割によりますが、公認会計士として「ここに入るために、このスキルが必要」というのは特にないと考えています。
一方でCFOになりたい方は、ロールとして資金調達やエクイティでの調達経験を求められることがあります。
そういった経験を積みたい方には投資銀行業務がある大手、外資の証券会社やPEファンド、戦略コンサルで一度経験していただくようなご案内をしています。
年収で転職先を選ぶ場合
現職にもよりますが、一般的に年収を上げたい場合は即戦力として重宝される会計系のコンサルティングファームが挙げられます。
監査法人出身者なら同等程度の給与条件で転職が成功するというケースもあります。ただし、30代前半でマネジャーになって稼ぐ方が多い業界ですので、転職する年齢にも関わってくると思います。
その他、年収アップのゴールとして、CFOを目指す方が多いので、コンサル以外のファンドなどをご紹介するケースも多いです。具体的には、給与ベースの高い投資銀行業務がある日系の投資会社、もしくはPEファンドです。
一方で、監査法人の中でもいわゆる「BIG4」にいる方は、監査業界でも年収水準が高いところにいるので正直、転職して年収が減るケースが多いと感じています。
同じような社格の上場企業や事業会社への転職だと、総合的なバランスの取れた人事評価制度をもった企業が多いためレイヤーが固まっています。そのため、評価制度に沿った報酬レンジです。
また、IPO準備企業であれば給与水準の交渉に柔軟ですが、プロダクトやサービスの売上が上がっていなければ、提示される年収は期待されているより出ないかもしれません。入社初年度に年収が高く出ても、そこから上げるのは苦労する可能性があることは事前にお伝えしています。
極論、若いうちに方向性を決めておくのが重要です。「どの経験をして、どの選択をすべきなのか」ということが、最終的に年収アップできる転職につながると考えています。
転職者と転職先企業の相性
大企業にマッチするタイプ
大企業の場合は、組織がしっかりとしているので、「業務を遂行する仕組みが出来上がっている」という中で仕事をしたいと考える方がマッチすると思います。
加えて、大企業であれば自分以外のメンバーがおり、言い換えると「自分の代わりがいる環境」にもなりますし、比較的安定していて大所帯のチームプレイを好む方が合います。
福利厚生もしっかりしている点を魅力に感じる方が多いと思います 。
考えられるデメリットは、上場企業ではプロパー採用が多く、社内の派閥が生まれやすい環境にあることです。また、総合職のようにジョブローテーションが多く、思いもよらない転部や転勤が発生するケースも多くはないですが、考えられます。
ベンチャー企業にマッチするタイプ
ベンチャー企業が合う方は「ルールがないカオスの中を駆け巡りたい」「裁量権を自分で持って仕事をしたい」という方だと考えます。会社の組織や事業が整備されていない中で、必要なものを自分で作り上げながら進めていくのはベンチャー企業の醍醐味と言えます。
一方で、転職者自身がベンチャーの中で何をやりたいのかという「解像度」を高くして、自分で何とかするという気概がないと、長く働き続けること、そのベンチャー企業の文化になじむのは、なかなか難しいと感じます。
転職を成功させるための秘訣
転職に成功する方の特徴
応募企業において「やりたいことが明確な方」がうまくいきます。
例えば、事業会社の場合、会社の成長と自分自身を合致させてアピールすることが重要ですし、上場企業であれば事業内容や役回りをすぐにキャッチアップできる方、柔軟性のある方が転職までスムーズな印象です。
また、コンサルティングファームへの転職であれば、スキルセットが求人内容と合致していれば、各社の面接の対応は難しくないと思いますし、内定も勝ち取りやすいです。
転職を成功させるためのポイント
まずは、どんな軸で転職するのかということが重要です。
この軸は4つ考えられます。
- 年収アップ
- スキルアップ
- 裁量を持つ
- ワークライフバランス
しつこいようですが、やっぱりどんな目的で転職をするかを明確にしておく必要があります。
候補者の方がキャリアについて整理をしていく支援をするのがわれわれコンサルタントの役割なので、悩んだら一緒に考えていきましょう。
転職活動を開始するのにオススメの時期
企業によりますが、一般的に、5月~7月を避けた方がいいと考えています。なぜなら、監査法人は3月決算企業の監査で5月くらいまで忙しい状況になり、5月以降の監査が落ち着いた時期になると、一気に転職活動を開始するライバルが増えてくるからです。
ただし、ライバルが多く動く時期に、会計士を必要とする募集案件も増えてくるので、5月以前から転職準備をしておくと、良いスタートが切れると思います。特にコンサルティングファームのポジションが多く出てくる印象があります。
事業会社の場合は必要な時に募集をかけるケース、枠がそもそも少ないケースが多く、タイミングの問題なので、時期はあまり関係ないかもしれません。
面接が不安な場合、どのような対策をしたらいい?
ひとくくりには言えませんが、応募企業と面接をするまでに、「事前に対象の企業について調べること」と、「自分のやりたいことを明確にし、求人票で求められていることを合致させること」が重要です。
自分のやりたいことがわからない場合は、「そもそもなぜこれをやりたいのかということ」を軸に、自分の中で掘り下げていただくのがオススメです。
公認会計士の転職においてよく見られる失敗事例
IPO準備企業で、初めてIPO要員としてCFOやCAOを求めている企業が良くあります。
企業の経営者も、実はIPOについて分からない中で採用するケースが多く、会計士に対する期待値が必要以上に大きな企業が存在します。
こういった企業に入社すると、経営陣からは「なんでもできる」と思われ、さまざまな業務をむちゃ振りされて、入社前の業務イメージとミスマッチが起きてしまい、失敗するケースもあります。
候補者の方も業務範囲を明確にして、面談の時点で企業に伝えるべきなのと、その事実を採用企業側にも理解していただく必要があります。
公認会計士の転職支援事例
IPOを目指して転職!年収も200万円アップ
40代・男性公認会計士・Aさんの転職支援事例をご紹介します。
大学卒業後から公認会計士試験の勉強を始めたAさんは、働きながら勉強を続け、見事公認会計士試験に合格。大手監査法人を10年経験された後、事業会社へ転職されました。そこでは、管理部長兼取締役をされていましたが、子供が生まれたことをきっかけに取締役を退任。退任後、育児休暇を取られましたが、現職の事業会社ではIPOの達成が難しかった点や、入社してから年収が上がっていない点などを理由に、転職を決意されています。
最初はIPO準備企業と年収アップが見込める会計系のコンサルティングファームも検討されていましたが、Aさんが転職で特に叶えたかったのは、IPOを目指せる会社で活躍することです。そこで弊社がご提案したのは、IPO準備企業の中でも、初期段階から関われるエンタメ系イベント企業です。また、年収アップを実現させるため、企業様と何度も交渉を重ね、結果的に最初に掲示された金額から200万円高い年収での内定を実現させました。
また、転職後のミスマッチが起きないよう、入社前のコミュニケーションにおいても企業様との間に入り、細かくサポートさせていただき、ご満足いただける転職になったのではないかと思っています。内定をいただいて入社したら終わり、ではなく、入社後もAさんとコミュニケーションを取らせていただき、不安なく、新しい職場でご活躍できるお手伝いもさせていただきました。
公認会計士の転職でエージェントを活用するメリット
Bridge Agentを活用するメリットは?
IPO準備をしている企業では、採用要件が固まっていないところから採用活動するケースも多く、なかなか通常の人材紹介会社に依頼できない企業が多いのが現状です。
弊社は、コンサルという立場で経営層や採用ご担当者の方とのヒアリングから関わらせていただいたり、相談をいただいたりする機会が多いので、非公開求人が多いのが特徴です。IPO準備企業への転職を目指される方にとっては、Bridge Agentを利用するメリットが十分にあると考えています。
ファンドに行きたい方には、弊社の連携先企業からの案件をご紹介できます。
なぜなら、弊社では、IPOイグジット(出口戦略)でPEファンドやベンチャーキャピタルと連携して一緒にお仕事をするケースがあり、これらの連携先企業から「投資先のCxO候補を紹介してほしい」「キャピタリスト、ファンドマネジャーやファンド・アドミで公認会計士を求めている」と言われる場合があるからです。
また、上場企業の求人も日頃から対象企業の決算開示とM&Aの支援を実施していますので、転職をしたい方と企業をお引き合わせさせていただくケースも多くございます。このようなネットワークを生かした転職先を紹介できるのも、Bridge Agentの強みと言えます。
コンサルティングファームに行きたい方は、弊社へのご入社をオススメします(笑)。
役員とのカジュアルな面談も行っておりますので、ご興味があれば、無料転職登録からご連絡いただければ嬉しいです。
Bridge Agentのサポート内容は?
Bridge Agentは、コンサルタントが企業と候補者それぞれの担当者に分かれている訳ではなく、クライアントと連絡を取る場合は自分が面談した方をご紹介し、どのように進めるかコミュニケーションをとります。
一方、転職を考えている公認会計士の方、特に監査法人にいる方であれば初めての転職活動になることが多いので、他の公認会計士がどういったところへ転職するかなど業界の話や、経験から見たその方自身の市場価値を客観的に分析し、転職した場合の年収などの情報を提供しながら、丁寧にサポートさせていただきます。
転職支援は完全無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。