「最高財務責任者」であるCFOは、もともとアメリカに浸透していた役職ですが、近年では国内の企業でもよく見られるようになりました。さまざまなキャリアを検討する中で、CFOに関心を抱いている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、「CFOになるにはどのようなスキル・経験が必要か」「どのようなキャリアパスを描くべきか」を中心に解説します。CFOの求人情報を探している場合は、ハイクラス人材の転職支援サービスを提供している、Bridge Agentまでお気軽にご相談ください。
目次
CFOの概要
CFO(Chief Financial Officer)は、アメリカ型の企業経営では広く浸透しています。以下、CFOの概要や仕事内容、CEO・COO・CMOとの違いを解説します。
CFOとは
CFOは、日本語で「最高財務責任者」を意味する役職です。企業の財務戦略・経営戦略の策定や、予算管理、財務報告、投資判断などを担い、経営陣の一員として、企業の財務と成長戦略を支える重要な役割を果たします。
公認会計士は財務や会計のスペシャリストであり、将来的にCFOを目指すケースも珍しくありません。キャリアとしては、監査法人からベンチャー・スタートアップ企業への転職を通して、CFOを目指す方法があります。
ベンチャー企業のCFOを目指す方は、こちらの記事もご覧ください。
CFOの仕事内容
CFOの役割は、組織の財務健全性を維持し、長期的な財務目標達成をサポートすることです。具体的には事業が今後どうなっていくのかを想定しながら、それを組織の財務戦略・経営戦略に反映させます。
財務諸表の作成に関与するのはもちろん、株主などステークホルダーへの説明に責任を持つのもCFOの仕事です。たとえば「資金をどのように運営しているのか」「それぞれどのような根拠があるのか」について、納得してもらえるような説明をしなくてはなりません。
CEO・COO・CMOとの違い
CEO(最高経営責任者)とCFOの違いは、役割の幅広さです。CEOは、「Chief Executive Officer」の略で、組織の全体的なリーダーとして活動します。
一言でいえば「経営のトップ」であり、専門分野があるCFOとは、立場や役割が明確に異なります。ただ、規模が小さい企業では、CEOがCFOの業務を担当しているケースも珍しくありません。
COO(最高執行責任者)とCFOの違いは、役割の性質です。
COO(最高執行責任者)は、「Chief Operating Officer」の略で、組織の日々の運営と管理を担当し、効率的な業務の流れを確保するのが主な役割です。内部のオペレーションにフォーカスする点で、CFOとは異なります。
CMO(最高マーケティング責任者)とCFOも、上記と同様、役割の性質が異なります。
CMOは、「Chief Marketing Officer」の略で、組織のマーケティング戦略と実施計画を指揮する立場です。市場調査や製品開発、ブランディングなどのマーケティング分野に特化しており、この点でCFOとは異なります。
CFOになるにはどのようなスキル・経験が必要か
以下のようなスキルや経験があればCFOになれるという訳ではありませんが、一般的には以下のようなスキル・経験が必要とされています。
- 会計・財務・経理に関するスキル
- コミュニケーションスキル
- リーダーシップ
- マーケットの状況を理解できるスキル
- マネジメント経験
それぞれのスキル・経験を解説します。
会計・財務・経理に関するスキル
CFOになるには、会計・財務・経理に関するスキルが欠かせません。最もわかりやすい部分でいえば、「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」など、財務諸表の作成・分析ができる能力です。企業が国際的に活動する場合は、国際財務報告基準(IFRS)などに精通している必要があります。
見落とされがちな部分ですが、CFOとして活躍するためには、銀行法や金融商品取引法などの法知識も求められます。財務報告や企業活動が、こうした法律や規制に準拠していることを確認し、正しいリスクマネジメントをする必要があるからです。
コミュニケーションスキル
CFOになるには、コミュニケーションスキルも求められます。CFOは組織をまとめる存在であり、財務部門のリーダーとして、チーム内での情報共有や意思疎通に関して責任を負う立場です。
また、仕事内容の部分でも解説したように、CFOは株主を始めとしたステークホルダーと深く関わる役職でもあります。たとえば、投資企業に対してプレゼンテーションを行う際は、相手が納得できるように説明する力が求められるでしょう。特にグローバル展開をしている(もしくは視野に入れている)場合は、英語でのコミュニケーションスキルも必要です。
リーダーシップ
財務に関する責任者としてのリーダーシップも必要不可欠です。
CFOは、各部門の活動を最適化し、組織全体の活動に不具合が生じないようにすること、つまり「全体最適」を考える役割をもっています。組織のさまざまな人とコミュニケーションを交わし、他の部門と連携を図りながら業務を進めていくためには、リーダーシップが不可欠です。
さらにCFOは、組織の変革を推進するキープレイヤーでもあります。新しいビジネスモデルやテクノロジーの採用、組織文化の変革など組織を引っ張っていく力も重要です。
マーケットの状況を理解できるスキル
CFOになるには、マーケットの状況を理解できるスキルも求められます。財務戦略の策定をするためには、自社が属しているマーケットがどのような状態になっており、自社の事業がどう関わっているのかを理解する必要があるからです。
ただし公認会計士として監査法人に長く務め、主に監査業務に従事している場合は、マーケットに関する素養がなかなか磨かれにくい事情もあります。CFOとしての適性を高めるためには、会計・財務・経理の領域だけでなく、上記のような「経営者の視点で考える力」を発展させることも重要です。
マネジメント経験
CFOになるには、マネジメント経験も必要です。経営陣の1人として組織をまとめる立場になるため、マネジメントの経験がない状態でCFOとしての仕事をこなすのは、現実的に難しいでしょう。
ビジネス環境は常に変化しており、理論だけでは予測不可能なケースも珍しくありません。こうした状況下では、過去の経験が、最適な意思決定をするための基盤となります。たとえばビジネスを成長させるための資金調達は、マネジメント経験という実践的なスキルも重要です。
CFOになるにはどのようなキャリアパスを描くべきか
CFOになるには、以下のようなキャリアパスを検討しましょう。
- 事業会社の経理・経営企画からの転職
- 監査法人からの転職
- コンサルティングファームからの転職
それぞれのキャリアの特徴を解説します。
事業会社の経理・経営企画からの転職
よく見られるのは、事業会社の財務や経理、経営企画などの部門から、CFO(候補としてのポテンシャル採用含む)として転職する方法です。上記のキャリアパスでは、バックオフィス業務の経験を生かせます。
もちろん転職ではなく、内部昇格によってCFOになる方法もありますが、現実的にはかなり難しい道です。ベンチャー・スタートアップなどの企業を中心に、いくつかの非公開求人を転職エージェントに紹介してもらいます。
監査法人からの転職
公認会計士として監査法人で働き、そこからベンチャー・スタートアップ企業のCFO(候補としてのポテンシャル採用含む)として転職する方法もあります。
監査法人での業務によって財務・経理・監査に関する専門性を保証できますし、IPO準備などの経験があれば、さらに評価されやすくなります。
ただし監査法人では、プロジェクトの性質や本人の資質によって任される業務が異なるため、CFOとしての適性を身に付けているかどうかはそれまでの経験によります。マーケティングや経営などの知識や経験があれば、CFOとして転職できる可能性が高まるでしょう。
監査法人からの転職先について知りたい方は、以下記事も参考にしてみてください。
コンサルティングファームからの転職
コンサルティング業界で経営目線での考え方を身につけた上で、CFOとして転職する方法もあります。特に戦略コンサルタントとして活躍している人材は、CFOを探している多くの企業にとって魅力的です。
監査法人で財務や経理に関するスキルを磨き、一度戦略系・FAS系などのコンサルティングファームを挟んで、CFOに転職するようなケースもあります。
CFOになるには転職エージェントをうまく活用しよう
CFOになるには、会計・財務・経理に関する専門知識はもちろん、コミュニケーションスキルやリーダーシップなど幅広いスキル・経験が必要です。監査法人からIPO準備などの経験を生かす形で転職する方法もありますが、事業会社やコンサルティングファームなどへの転職を経て、CFOを目指す方もいます。
CFOになるには、転職エージェントを活用するのがおすすめです。弊社は、コンサルという立場で経営層や採用ご担当者の方とのヒアリングから関わらせていただいたり、相談をいただいたりする機会が多いので、非公開求人も多数取り扱っています。
また、公認会計士の転職支援に多く関わってきたコンサルタントが在籍しておりますので、経験に基づく的確なアドバイスやキャリア相談など、さまざまなサポートをご提供しています。
ネクストキャリアではなく、今後CFOを目指していきたいという方もご連絡ください。最適なキャリアプランを提案させていただきます。
転職を検討している方は、ぜひお気軽にBridge Agentにご相談ください。
この記事の監修者
ブリッジコンサルティンググループ株式会社
執行役員/ヒューマンリソースマネジメント事業部 事業部長 仁木 正太
新卒から15年間、九州屈指の地方銀行で法人向けに、融資新規開拓から深耕営業を中心に従事。その後、急成長ベンチャーにて大手、上場企業の事業部長、役員経験者を対象とした“エグゼクティブ人材”と企業オーナーとのマッチング支援サービスに従事し、海外現地法人社長、子会社社長、ベンチャー企業の取締役CxOなどへの移籍を約50名手掛ける。2020年、ブリッジコンサルティンググループで人材紹介サービス「Bridge Agent」を立ち上げる。パーソルキャリア運営ハイクラス転職サービス『iX転職』にて、2021年に最も活躍したヘッドハンターを表彰する『iX HEADHUNTER AWARD 2021』ハイクラス転職人数部門1位(2,500名中)を受賞。