転職市場において、一般的には年齢が若い方が転職しやすく、年齢が高くなるにつれて転職が難しくなる傾向にあると言われています。ただし、公認会計士の場合は必ずしもそうとは言い切れません。
若い公認会計士はポテンシャルが評価されるため、さまざまな可能性があります。未経験の領域へ転職しようとする際、年齢が若い方が有利であることは間違いありません。
しかし、年齢よりもスキルや経験が重視される場面も多くあります。豊富な実務経験と高い専門性を持つプロフェッショナルな公認会計士でないと対応が難しい業務もあり、その場合は年齢は問題になりません。そのため、ミドル層の公認会計士の転職も活発です。必ずしも年齢が高くなると転職で不利になるわけではありません。
こうした点を踏まえ、このページでは、年代ごとの転職市場動向や求められるスキルなど、公認会計士の転職と年齢について解説します。
Bridge Agentには、さまざまな年代の公認会計士の転職支援実績があります。求人のご案内はもちろん、公認会計士としてのキャリア形成に役立つ具体的なアドバイスやキャリアプランの提案なども行っています。
転職をお考えの方やキャリアの相談をご希望の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
公認会計士の年代ごとの転職市場と転職先
年代ごとの公認会計士の転職市場動向を見ていきましょう。
20代公認会計士の転職:超売り手市場が続いている
現在、20代公認会計士の転職市場は超売り手有利な状況が続いています。事業会社、コンサルティングファーム、金融など、あらゆる業界への転職が可能です。
修了考査合格後、早期に転職する公認会計士が増加傾向
修了考査に合格後、早い段階で転職する公認会計士は増加傾向にあります。監査に飽きたという理由や労働環境に対する不満から退職する方も多いですが、将来的なキャリアのリスクを考え、監査経験だけでは不安を感じるため、監査以外の経験を積む必要性を感じる方が増えていることも要因の一つです。
主な転職先と求められるスキル
20代の公認会計士に人気の転職先は以下の通りです。
- 事業会社:上場企業の経理部門への転職は、年代を問わず人気があります。特に、ワークライフバランスを重視する場合、事業会社を希望するケースが多くなっています。
- ベンチャー企業:ベンチャー企業への転職に興味を持つ方は多い傾向です。ゼロから組織を作り上げ、IPOを経験したいという方も少なくありません。
- コンサルティングファーム:FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)への転職が多い傾向にありますが、戦略コンサルティングファームも含め、20代であれば幅広い可能性があります。
- ファンド・金融:VC・PEなどのファンドや金融機関の投資銀行部門に興味を持つ方も多くいます。
特に事業会社の経理部門への転職が多い印象です。年収、労働環境、キャリアを考えた際に、上場企業の経理部門がバランスが取れているため人気があります。経験が浅い方であっても、ポテンシャルが評価されて採用に至るケースは多くあります。
また、ベンチャー企業への転職も若手の公認会計士に人気があります。経営に興味を持つ方や、組織を作っていく経験をしたい方も多く、スタートアップベンチャーを目指す方が増えています。ベンチャー企業では、若手でも経営に携わるチャンスが多いため、挑戦する価値があります。
これらは一例に過ぎませんが、あらゆる可能性があるのが20代公認会計士です。さまざまなことにチャレンジしていただきたいと思います。
さらにその先の転職先やキャリアパスも把握しておく
今回の転職のみならず、将来のキャリアを見据えることが重要です。20代の場合、今後さらなる転職を経てキャリアアップを図る場面に直面することが出てくるはずです。
たとえば、監査法人からFASへ転職すると、ファイナンスのスキルが身につくため、事業会社の経営企画やベンチャー企業のCFO、あるいは独立という道も開けてきます。
こうしたキャリアパスを事前にイメージしておくことで、転職後の仕事に対して明確な目標を持ち、モチベーションを維持することができます。また、自分がどのようなスキルや経験を積むべきかが明確になり、日々の業務に取り組む際の指針となります。
転職は単なるキャリアの転換点ではなく、将来の成功に向けた重要なステップです。将来的なキャリアパスを見据えた選択をすることで、長期的なキャリア形成が可能となります。
注意点
売り手市場だからといって、計画性もなく転職を繰り返すことは避けるべきです。キャリアやスキルに一貫性がないと、将来的な転職活動で不利になる恐れがあります。
30代・40代の方々の中には、早期退職を繰り返した結果、転職活動で苦戦している方も見受けられます。職歴が荒いからということではなく、職務経歴書から専門家としての能力や、実際に結果を出してきたかどうかに対する信用が得られなくなる場合があるためです。転職回数が多くても、整合性の取れたキャリアであれば問題ありません。従って、ある程度のキャリアプランを持っておくことが重要です。
長期的な視野でキャリアを考える際には、多くのキャリア事例を持つ転職エージェントに相談することもおすすめです。Bridge Agentには、公認会計士のキャリア支援を長年行ってきた経験豊富なコンサルタントが在籍しておりますので、ぜひご相談ください。
30代公認会計士の転職:会計に加えてプラスアルファの専門性
30代公認会計士の転職市場も売り手有利な状況です。
30代前半であれば、20代同様に、ポテンシャルが評価され、未経験領域への転職も比較的しやすい状況です。
一方で、30代後半に差し掛かるにつれて、より高い専門性やマネジメントスキルが求められることが増えていきます。そのため、何かチャレンジしたいことがあるのであれば、若いうちに転職しておく方が良いでしょう。
30代公認会計士の転職先とキャリアについて
転職相談をする中で、悩みや希望が最も複雑だと感じるのが30代です。これは公認会計士に限りません。結婚や出産も含めて、ライフイベントが多くなり、生活環境が大きく変わる方が多いからです。それに伴い、価値観が変わる方もいます。そういった状況を踏まえ、30代公認会計士の転職先としては以下のようなものが考えられます。
- 事業会社の経理:ライフイベントを機に働き方を検討した結果、事業会社の経理を選択されるケースが男女問わず多い傾向です。
- 事業会社の経営企画:監査法人、コンサルティングファームなどで経験を積んだ公認会計士が次のステップで事業会社の経営企画を目指すケースが増えます。
- ベンチャー企業のCFO:会計+ファイナンスのスキルを生かし、企業の経営側のポジションで働くことを希望し、ベンチャー企業のCFOへ転職するケースがあります。
- ベンチャー企業の常勤監査役:フレキシブルな働き方が実現できる点に着目し、女性会計士が転職するケースが増加しています。
- コンサルティングファーム:監査経験しかないことに不安を感じ、コンサル(主にFAS)へ転職し、キャリアに汎用性を持たせる方がいらっしゃいます。
- 会計事務所:独立を目指す公認会計士が修行をするために、会計事務所への転職を目指すケースがあります。
- 中小監査法人:監査は好きだがBig4は苦しい、という方が中小監査法人へ転職されるケースがあります。
20代の項目でも記載しましたが、ワークライフバランスを考えた場合、事業会社の経理を選択をする方は多いです。特に女性の場合、結婚や出産を考えると、制度がしっかり整っていて復帰がしやすく、キャリア形成もしっかりできる就業先を求める傾向にあるため、上場企業の経理はマッチしやすいです。その他の選択肢としては、IPO準備企業の常勤監査役が考えられます。働き方に融通がきくため、子育て中の方でもキャリアを構築しやすいというメリットがあり、女性会計士が転職するケースが増加しています。
また、ベンチャー企業のCFOや経営企画など、経営に近いポジションで働く方が増えるのも30代の特徴です。監査経験に加えて、コンサルティングファームなどで経験を積み、経営側へステップアップしていく方は多い傾向です。
監査法人でのキャリアを望む場合においては、働き方の改善やパートナーを目指すために中小監査法人へ転職される方もいらっしゃいます。
監査法人以外への転職ということであれば、会計監査に加えて、「マネジメント」や「ファイナンス」、「英語」、「コンサルティング」、「IT」など、プラスアルファの経験が求められる年齢になっていきます。30代後半になると、新しいキャリアは築きにくくなっていきますので、30代前半のうちに将来を見据えた選択をしたいところです。
何かと悩みが増える年代ではありますが、キャリアの視点のみならず、私生活も含め、さまざまな観点からキャリアの支援をさせていただきますので、転職をお考えの方はご相談ください。
40代以上の公認会計士の転職:プロフェッショナルとして需要が高い
40代以上の公認会計士の転職も活発です。20代・30代と異なるのは、40代以上になると未経験の領域への転職の選択肢は狭まるということです。高い専門性と豊富な実務経験、そしてマネジメント力を生かして活躍することが想定されており、該当する領域での経験値が求められるからです。
40代の公認会計士は、事業会社のエグゼクティブポジションを目指すケースが多いですが、より深い専門性を磨き、プロフェッショナルとして独自のポジションを確立していく方もいらっしゃいます。
転職先
40代の場合、これまでの経験を生かした転職が多くなるので、転職先は参考としてご覧ください。20代・30代と大きく異なる点は、内部監査への転職が増加する印象があることです。
- 事業会社:経理財務部長、経営企画、CFOなど、企業内部で上位のポジションに就く方が多い傾向です。また、内部監査へ転職されるケースが増加するように感じます。
- ベンチャー企業:IPOの経験が豊富な公認会計士は需要が高く、IPO準備企業での採用需要も旺盛です。CFOや経営企画、内部監査室長などさまざまなポジションで活躍しています。
- コンサルティングファーム:FASや会計コンサルティングファームでは人手不足から採用対象を広げており、40代の採用実績も増えていると聞きます。
- 監査法人:中小監査法人へ転職する40代の公認会計士もいらっしゃいます。
マネジメント経験が求められる
経験豊富な40代の公認会計士は多くの企業から引く手あまたです。
事業会社への転職においては、部長などのマネジメント職での採用が多いため、マネジメント経験の有無が転職のしやすさに影響します。
M&A担当や経営企画、IPO準備責任者など、専門性の高い業務においては、特定の部下を持たずに活躍するケースもありますが、そうした部下を持たないポジションであっても、プロジェクトの管理が求められるため、マネジメントスキルについてはアピールできるようにしておく必要はあると感じます。
会計業界は年代問わず転職がしやすい
一方で、事業会社からの転職を希望する公認会計士の方もいらっしゃいます。企業内でポジションが確保できなかったなど、理由はさまざまです。
中小監査法人やFAS、会計コンサルティングファームなど、会計業界への転職であれば比較的容易です。会計業界での採用需要は依然として高く、ある程度の実務経験があれば転職できないという状況は考えにくいです。
Bridge Agentでは、公認会計士として長年培ったスキル・経験をお持ちの方にマッチするハイレベルな求人案件も保有しています。キャリアアップを考えている公認会計士の方はご相談いただければと思います。
高度な専門性を持つ人材の需要が高まっている
テクノロジーの発展により、単純作業を行うポジションの人員は削減傾向にあります。そのため、スキルを持たないまま年齢を重ねてしまうと、転職市場で厳しい現実に直面することがあるかもしれません。
しかし、高い専門性やスキルを持った人材は、年齢に関わらず非常に高い需要があります。たとえば、AIの普及やそれに伴うビジネスモデルの変革など、経営環境は急速に変化しています。こうした変化に対応するため、企業は経営計画の見直しや高度な会計処理、経理方針の変更を迫られることがあります。
このような環境では、公認会計士が持つ高い専門性がますます求められることが考えられます。キャリアを高めるためにも、成長できる環境に身を置くことをおすすめします。
転職をお考えであればBridge Agentにご相談ください
Bridge Agentでは、20代の若手から、30代のミドル層、40代のマネジメント経験者、50代の役員経験者まで、さまざまな年代の公認会計士の転職支援実績があります。各年代に応じたキャリアパスの事例も豊富に持ち合わせておりますので、求人の紹介だけでなく、キャリアの相談をご希望の方もぜひご登録ください。
また、転職活動を行うにあたり、面接に不安を抱える方は少なくありません。面接での振る舞いや態度が適切でないと、年齢とのギャップから悪い印象を持たれることがあります。せっかく高いスキルを持っていても、面接での印象が悪いともったいないため、面接に自信がない方や不安がある方もぜひご相談ください。しっかりとサポートさせていただきます。
この記事の監修者
ブリッジコンサルティンググループ株式会社
執行役員/ヒューマンリソースマネジメント事業部 事業部長 仁木 正太
新卒から15年間、九州屈指の地方銀行で法人向けに、融資新規開拓から深耕営業を中心に従事。その後、急成長ベンチャーにて大手、上場企業の事業部長、役員経験者を対象とした“エグゼクティブ人材”と企業オーナーとのマッチング支援サービスに従事し、海外現地法人社長、子会社社長、ベンチャー企業の取締役CxOなどへの移籍を約50名手掛ける。2020年、ブリッジコンサルティンググループで人材紹介サービス「Bridge Agent」を立ち上げる。パーソルキャリアが運営するハイクラス転職サービス「iX転職(現:dodaX)」にて、2021年に最も活躍したヘッドハンターを表彰する「iX HEADHUNTER AWARD 2021」ハイクラス転職人数部門1位(2,500名中)を受賞。