繁忙期が終了する6月から年末調整の時期を迎える前の10月頃まで、会計事務所は閑散期に入ります。求人数も増えるため、そのタイミングを狙って会計事務所へ転職しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、会計事務所の繁忙期や転職におすすめの時期、向いている方の特徴やキャリアパスなどを解説します。自身のキャリアに迷っている方は、士業・管理部門に特化型転職支援サービス「Bridge Agent」までご相談ください。
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目次
会計事務所の繁忙期
会計事務所の繁忙期は、保有クライアントの決算時期によって若干異なりますが、おおむね以下の通りです。
繁忙期 | 理由 |
---|---|
1〜3月 | 個人事業主の確定申告の締め切り日が3月15日。確定申告の時期は特に忙しい。 |
4~5月 | 法人税の申告期間であり、法人クライアントからの依頼が殺到する。 |
11〜1月 | 年末調整の時期で、関連する業務の依頼が増加する。 |
上記に加えて、外資系(欧米)のクライアントが多いところは、12月決算で1〜2月が忙しい場合もあります。
会計事務所の求人数がピークになる時期
会計事務所の求人数は、時期によって増減します。求人数がピークになる時期は、以下の通りです。
ピーク時期 | 特徴 |
---|---|
4〜6月 | 繁忙期が終わると、早めに採用活動を開始し、優秀な人材獲得に向けて 採用活動を開始する。 |
8〜9月 | 税理士試験直後の期間は、ポテンシャル採用が増えるため、 未経験者でも採用されやすくなる。 |
11〜12月 | 税理士試験の結果発表後、科目合格者を中心に即戦力となる人材を求める 求人が増加。繁忙期に向けて人員を増やす狙いもある。 |
ピークになる時期によって特徴が異なるため、自身のスキルに合わせて転職活動を行うと負担が減るためオススメです。
会計事務所に転職するメリット
会計事務所に転職するメリットは、以下の5点です。
- 会計に関する専門スキルが身に付く
- 多様なキャリアパスを描ける
- 安定した収入を得られる
- 専門的な資格のノウハウを活用できる
- 会計分野での人脈を築ける
それぞれのメリットを解説します。
会計に関する専門スキルが身に付く
会計事務所に転職するメリットは、会計に関する専門スキルが身に付くことです。会計事務所では、日々の業務を通じて高度な会計スキルを磨けます。具体的には税務や経理処理、財務分析などです。
もちろん会計に関する知識は座学でも身に付けられますが、実際に業務を通して学ぶのとでは、やはり違います。「会計に関する実務経験を積める」という意味でも、後のキャリア形成にいい影響を及ぼします。
多様なキャリアパスを描ける
多様なキャリアパスを描けるのも、会計事務所に転職するメリットです。会計事務所では、さまざまな規模のクライアントと仕事ができます。異なる業界やビジネスモデルに触れる機会も多く、事務所によっては国際色豊かな案件に携わる機会もあるでしょう。
特定の分野に特化するか、幅広い知識を持つゼネラリストになるかなど、キャリアの多様性があるのも会計事務所の特徴です。事務所運営のノウハウを身に付け、独立開業するルートもあります。
安定した収入を得られる
安定した収入を得られるのも、会計事務所に転職するメリットです。すべてのビジネスにとって会計は欠かせないため、当然、会計関連業務に携わる人材の需要も高い状態です。
Bridge Agentで保有している会計事務所&税理士法人求人案件では、800万円以上の求人もあります。
一度、会計事務所での仕事のノウハウを習得すれば、もし勤務先の事務所が倒産しても他の場所で十分に活躍できます。資格を取得するとさらに転職市場で評価されやすくなり、ネクストキャリアにも困らないでしょう。
専門的な資格のノウハウを活用できる
専門的な資格のノウハウを活用できるのも、会計事務所に転職するメリットです。公認会計士や税理士などの資格を持っていれば、会計事務所でそのノウハウを存分に生かせます。
監査法人からコンサルティングファームに転職したものの、「自分の専門性を十分に生かせていない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。公認会計士の強みを生かしたいなど、専門性に自信がある人にとっては、会計事務所への転職が良いきっかけになる可能性もあります。
会計分野での人脈を築ける
会計分野での人脈を築けるのも、会計事務所に転職するメリットです。会計事務所では、他の会計専門家や業界関係者、クライアントなどさまざまな人脈を築くためのチャンスがあります。
公認会計士や税理士が横のつながりを作ったり、資格取得を目指している人々が集まって切磋琢磨したりと、人脈によってさまざまなメリットが生まれます。独立開業を考えている場合は、会計事務所時代に築いた人脈が役立つこともあるかもしれません。
会計事務所への転職に向いている方の特徴
会計事務所への転職に向いている方の特徴は、以下の5つです。
- 会計に関する専門知識を持っている
- 細かい部分に注意を払える
- コミュニケーション能力が高い
- ストレス耐性がある
- 継続的に勉強できる
それぞれの特徴を解説します。
会計に関する専門知識を持っている
当たり前ですが、会計に関する専門知識を持っている方は、会計事務所への転職に向いています。特に、公認会計士や税理士などの専門性の高い資格を持っていると、転職時にわかりやすい形で評価されます。
公認会計士や税理士は、国家資格でも最難関の部類で、取得が現実的でない場合もありますが、税理士の科目合格者や簿記2級以上を取得している方なども、転職時に評価されます。
細かい部分に注意を払える
細かい部分に注意を払える方も、会計事務所への転職に向いています。会計業務は、企業や個人の財務状況を把握し、財務諸表や税務申告書を作成するために高い正確性が求められます。1つのミスが大きな問題につながることもあるでしょう。
そのため会計業務では、何よりもミスを防ぐために作業を丁寧に行う姿勢が重要です。正確性を重んじる性格かつ要領良く物事をこなせる方であれば、優れたパフォーマンスを発揮できるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高い方も、会計事務所への転職に向いています。会計事務所の業務は、単独で進めるものもありますが、クライアントやチームメンバーとコミュニケーションを取る機会も多いです。
会計事務所で具体的に求められるのは、説明能力や交渉スキルです。この2つが備わっていると、クライアントとの関係構築や業務の進行に役立ちます。
ストレス耐性がある
ストレス耐性がある方も向いていると言えます。前述のように、会計事務所は、クライアントの決算時期によって繁忙期が発生します。
繁忙期では、タイトな締め切りで、さまざまな業務をこなさなければなりません。クライアントからの要求も厳しくなり、プレッシャーがかかりながら仕事をすることもあります。
高いストレス状況下でも冷静に問題を対処し、効率的に仕事ができる人は、会計事務所での勤務に適しています。
継続的に勉強できる
継続的に勉強できる方も、会計事務所への転職はおすすめできます。会計規則や税法は頻繁に変更されるため、最新の情報を学び続ける姿勢が求められます。継続的に勉強しつつ、新しいことに挑戦する熱意がある方は、会計事務所でも好まれやすい傾向にあります。
会計業界では、会計ソフトやデータ分析ツールなど、デジタルツールの導入も進んでいる状況です。新しい技術を効果的に活用するため、関連するスキルを習得しなければなりません。
会計事務所への転職におすすめの時期
会計事務所に転職する際は、求人数が増えるタイミングを狙うのが重要です。特に6〜10月は閑散期に相当するため、採用を考える事務所も多いとされています。
求人数が多ければ、当然幅広い選択肢があり、自分の希望に合った求人を見つけやすくなります。また忙しい時期に比べて、採用担当者がより多くの時間をかけて応募者を評価できるため、採用プロセスがスムーズに進行しやすいのも大きなメリットです。
会計事務所に転職した際のキャリアパス
会計事務所に転職した際のネクストキャリアとしては、公認会計士の場合は主に2パターンです。
税務を経験した場合、専門性を高めて特定の分野に特化した場所へ転職される方が多い傾向にあります。最近では、税務の経験有無に問わず、事業会社の経理・財務部門も候補に挙がります。大手上場企業はもちろん、昨今ではIPO準備企業・スタートアップ企業も転職先として人気があります。
税理士の場合、専門性を高めるために、外資系や相続・事業承継に強い事務所など、特定の分野に特化した場所を選ぶ方が多い傾向です。
キャリアについて迷った場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。キャリア相談や非公開求人の相談など、さまざまなサポートが受けられます。
未経験でも会計事務所に転職可能?
実務が未経験でも、会計事務所に転職するチャンスはあります。
未経験から転職する場合は、会計や財務の基本的な知識を学ぶことがスタートポイントです。日商簿記2級などの勉強を通して、基本的な会計知識、財務諸表の読み方を理解します。
30代前半で会計事務所への転職を検討している場合、未経験でも決して遅すぎるわけではありませんが、やはり実務経験が求められるケースが多くなります。特に30代後半になるとチャンスが狭まるため、なるべく20代のうちに動き出すとよいでしょう。
会計事務所への転職を目指している方へのアドバイス
クライアントによっても若干異なりますが、会計事務所の繁忙期は1〜3月、4〜5月、11〜1月の期間です。6~10月は閑散期に該当し、各事務所が採用体制を強化するため、求人数も増えます。
会計事務所に転職したら、そこで専門性を磨き、特定の分野に強みを持った事務所に移っていきます。会計事務所以外のキャリアとしては、事業会社が候補になるでしょう。転職を検討している場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
士業・管理部門に特化した実績と経験豊富なコンサルタントがご支援させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
公認会計士A
保有資格:公認会計士、証券外務員(第一種・第二種)、簿記1級など。
大学在学中に公認会計士試験に合格。その後、監査法人や投資銀行を経て、現在は投資ファンドでPE投資に従事。