上場企業の経理が「激務」「きつい」のは本当?転職するメリットやキャリアパスも解説

上場企業の経理が「激務」「きつい」のは本当?

上場企業の経理部門は、四半期ごとの決算報告や連結決算など、業務量の多さから「激務」「きつい」と言われることがあります。上場企業の経理部門への転職を考えている方にとって、実際に大変なのか気になるところでしょう。

そこで本記事では、上場企業の経理が「激務」「きつい」と言われる理由や転職するメリット、求められるスキル・経験など、幅広く解説します。また、転職した際のキャリアパスや未経験からの転職についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。 上場企業の経理への転職を検討している方は、ハイクラス向けの非公開求人が豊富なBridge Agentまでお気軽にご相談ください。

上場企業の経理は「激務」「きつい」のか

上場企業の経理部門の仕事は、確かに「激務」「きつい」と感じる部分もあるかもしれません。上場企業は四半期ごとの決算報告や連結決算など、定期的な財務報告が求められるため、業務量が非上場企業よりも多くなる傾向にあります。監査対応や内部統制の強化など、財務の透明性を高めるための業務もあります。

ただし、上記は組織レベルの話で、個人レベルで考えてみると、必ずしも非上場企業に比べて「きつい」とは限りません。上場企業は一般的に経営基盤が安定しており、人的リソースが充実していることが多いです。全体的な業務量が多かったとしても、業務負担が個々の社員に偏ることなく分散されると想定されます。

上場企業は労働環境の改善や福利厚生に力を入れることも多く、働きやすい環境が整っている傾向にあります。

上場企業の経理が「激務」「きつい」と言われる理由

上場企業の経理が「激務」「きつい」と言われる理由は、以下の3点です。

  • 決算の業務量が多い
  • 監査対応がある
  • 社内競争が激しい

以下、それぞれの理由を解説します。

決算の業務量が多い

上場企業の経理が「激務」「きつい」と言われる理由は、決算の業務量が多い点です。上場企業は四半期ごとに決算報告を行う必要があり、さらに年度末の本決算も必要になります。

また、国内外に子会社を持っている場合、各子会社の決算を集約して連結財務諸表を作成する必要があります。連結決算には、高度な専門知識が必要であり、各子会社の異なる会計基準を調整し、内部取引を消去するなどの作業が必要です。

決算期には短期間で多くの業務をこなさなければならないため、経理部門への負担が集中することがあります。

監査対応がある

監査対応があるのも、上場企業の経理が「激務」「きつい」とされる理由です。上場企業は、財務の透明性を高めるため、外部監査人による監査を受けなければなりません。監査では、企業が適切な財務報告を行っているかどうか(不正がないか)を確認します。

監査期間中、経理部門は監査人の質問に対する回答や必要資料の準備、会計処理の根拠の説明など連日やり取りをしなければなりません。部門全体の作業負担が増えるため、「きつい」と感じる方もいるようです。

社内競争が激しい

社内競争が激しいのも、上場企業の経理が「激務」「きつい」と言われる原因です。

ただし、企業の規模や業界の特性によって異なります。大手企業では、限られた管理職のポジションに対する競争が発生しやすく、ストレスやオーバーワークの原因になることもあります。

一方で、中小企業や規模の小さい企業では、このような競争がそれほど強くないケースもあります。

上場企業の経理業務は、非上場企業に比べて専門性が高く、複雑かつ専門的な業務が求められる傾向があります。そのため、経理部門での業務は高度なスキルと専門知識が要求されることが多く、それに伴う負荷も大きいと言われています。

上場企業の経理に転職するメリット

「激務」「きつい」と言われることもある上場企業の経理ですが、転職するメリットもたくさんあります。代表的なのは、以下です。

  • 待遇面で恵まれている
  • 転職市場で評価されやすい
  • 持株会制度を活用できる

それぞれのメリットを解説します。

待遇面で恵まれている

上場企業の経理ならではのメリットの1つは、待遇面で恵まれている点です。上場企業は市場に株式を公開しており、資金調達の手段として株式を利用します。そのため、一般的には非上場企業よりも経営基盤が安定しており、社員の給与水準も高い傾向にあります。

また、上場企業は労働環境の改善や福利厚生にも力を入れており、有給休暇や特別休暇、育児休暇などの制度を充実させているケースが多く見られます。さらに、業績に応じたボーナスや住宅手当などの各種手当が支給されることもあります。働きやすい環境が整っていると言えます。

転職市場で評価されやすい

転職市場で評価されやすいのも、上場企業の経理に転職するメリットです。上場企業は定期的な四半期報告や年次報告を義務付けられているため、そこでの実務経験を通じて、会計規則や財務報告の基準に精通していることをアピールできます。

さらに定期的に外部監査を受けることで、質問に効率的かつ適切に回答する能力や、会計処理の根拠を明確に説明する能力などが磨かれます。これらの経験やスキルは、転職市場で高く評価されるでしょう。

経理の転職成功の秘訣については以下の記事も参照してください。

持株会制度を活用できる

持株会制度を活用できるのも、上場企業の経理に転職するメリットです。持株会制度とは、社員が自社株を購入するための仕組みであり、そのための資金は社員からの拠出金が使われます。

社員にとっての最大のメリットは、奨励金を活用できる点です。社員が自社株を購入する際には、会社が一定割合の金額を補助することが一般的です。これにより、社員はより多くの株式を取得できます。拠出金は毎月の給与から天引きされるケースがほとんどなので、手間をかけずに長期的な資産形成が可能です。

上場企業の経理に求められるスキル・経験

上場企業の経理に求められるスキル・経験は、以下の5つです。

  • 会計・税務に関するスキル
  • 申告書や連結財務諸表の作成スキル
  • コミュニケーションスキル
  • システムを扱った経験

それぞれのスキル・経験を解説します。

会計・税務に関するスキル

上場企業の経理で前提となるのが、会計・税務に関するスキルです。日商簿記2級以上の知識、つまり財務諸表の作成や簡単なコスト計算、会計処理ができる能力が必要です。

特に国内外に多くの子会社を持つ上場企業では、異なる会計基準を調整し、正確な連結財務諸表を作成する能力が不可欠です。連結決算や決算開示のスキルに加えて、固定資産減損など複雑な会計に関するスキルがあれば、より評価されやすくなります。

申告書や連結財務諸表の作成スキル

上場企業の経理では、申告書や連結財務諸表の作成スキルも必要です。連結財務諸表や申告書は、法的要件を満たすために正確に作成しなければなりません。もしも間違いや不正確な情報があった場合は、法的な問題や信用失墜につながる可能性があります。

さらに上場企業は、四半期報告や年次報告のような開示資料など、非上場企業に比べて多くの資料を作成する必要があります。正確さだけでなく、スムーズに大量の資料を作成できるかどうかも必要なポイントです。

コミュニケーションスキル

上場企業の経理では、コミュニケーションスキルも求められます。経理部門は、経営陣や外部監査人、投資家などさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションが必要です。関係者に対して、明確に情報を伝えられる力は必須と言えます。

上場企業は、同部署だけでなく他部署との連携も強めていく必要があるため、時には厳しい対応が必要な場合もあります。しかし、ただ厳しいだけでなく、人当たりの良さも必要になるなど、コミュニケーションの器用さも求められます。

システムを扱った経験

上場企業の経理部門では、効率的な業務遂行のために、さまざまな会計関連のシステムを活用しています。たとえば、会計システムや固定資産システム、原価管理システムなどがあります。これらのシステムに精通していることは、新しい職場での適応をスムーズにし、業務の効率化にも貢献します。

新しい職場でも、すでにシステムに精通していることで、スムーズに適応できます。日頃からITツールに慣れ親しんでいない場合は、転職後に苦労する可能性もあるため注意が必要です。

ご自身のスキルに不安があるという方は、まずは無料キャリア相談をご活用ください。経理に特化したコンサルタントが全力でサポートいたします。

上場企業の経理に転職した際のキャリアパス

上場企業の経理に転職した際のキャリアパスとしては、まずゼネラリストとしてキャリアを積み、経営戦略やマーケティング、人事管理など経営の各側面に深く関与するというルートが考えられます。

経理の知識や経験は、幅広いビジネス領域で活用できるため、他の分野へのキャリアチェンジも選択可能です。

難易度は高めですが、米国公認会計士(USCPA)の資格を取得すれば、グローバルな視点や高度な英語力が求められる外資系企業も選択肢に加わります。国際的な会計基準に精通した人材として、外資系企業の財務報告や監査に携わることができます。

またこちらも難易度が高めですが、公認会計士や税理士の資格を取得する、すでにお持ちの方であれば、会計の専門知識を持った人材として、IPO準備企業やスタートアップ・ベンチャー企業のCFOや独立などのキャリアパスも選択できます。

CFOに必要なスキルや経験は以下の記事で解説しています。

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未経験で上場企業の経理に転職するのはきつい?

未経験者が上場企業の経理に転職を検討する場合、実務経験者と比べてハードルが高いですが、可能性はあります。20代や30代前半など若いうちであれば、学習能力やポテンシャルを重視する企業もあります。会計・税務に関する知識やコミュニケーションスキル、英語力など、自身の強みをアピールすることが大切です。

コミュニケーション能力を重視する企業の場合は、営業や販売などで活躍した人材のポテンシャルを見込んで採用する可能性もあります。正社員ではなく、契約社員などで経理事務を担当した人にもチャンスはあるでしょう。

ご自身の可能性を確かめたい方は、お気軽にご相談ください。

上場企業の経理の求人情報

上場企業の経理部門は、「激務」「きつい」とされる側面もありますが、必ずしも非上場企業に比べて個人の負担が大きいとは限りません。むしろ上場企業のほうが、待遇や福利厚生が恵まれている傾向にあるため、より良い環境で働ける可能性があります。

上場企業の経理部門は、四半期ごとの決算報告や連結決算など複雑な業務に携わるため、転職市場でも評価されやすくなります。キャリアパスも多様なので、なるべく若いうちにキャリアを思い描くと良いでしょう。

上場企業の経理の求人情報を収集している場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。

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この記事の監修者

ブリッジコンサルティンググループ株式会社
執行役員/ヒューマンリソースマネジメント事業部 事業部長 仁木 正太

新卒から15年間、九州屈指の地方銀行で法人向けに、融資新規開拓から深耕営業を中心に従事。その後、急成長ベンチャーにて大手、上場企業の事業部長、役員経験者を対象とした“エグゼクティブ人材”と企業オーナーとのマッチング支援サービスに従事し、海外現地法人社長、子会社社長、ベンチャー企業の取締役CxOなどへの移籍を約50名手掛ける。2020年、ブリッジコンサルティンググループで人材紹介サービス「Bridge Agent」を立ち上げる。パーソルキャリア運営ハイクラス転職サービス『iX転職』にて、2021年に最も活躍したヘッドハンターを表彰する『iX HEADHUNTER AWARD 2021』ハイクラス転職人数部門1位(2,500名中)を受賞。

エグゼクティブコンサルタント 仁木 正太

 

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Bridge Agent編集部

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